76 刀は必ず抜きたくなる。

 

開戦前のアメリカの国務大臣ハル・ノートを読みますと、戦争に向かうしかなかったと多くの人が述べ昭和天皇も最終的に賛意を示していますが、最後まで戦争を避けようとしていた天皇やその一部の人たちの見識のほうが正しかったと思いますが、軍人のほうが先走り視野が狭かったという気がします。確かに無条件降伏のような文面ですが、すでに併合している朝鮮のことも満州を手放せとは書いていません。それだけの「領土」があればいったん引き下がって国民の平和を考えてもよかったのではないかと思うところもありますが、その考えは今日から見たわたしの目ですから、もっと切羽詰まり抜き差しならないものがあったのでしょうが、少数者の考えが軍部によって押し切られたのも事実です。石油も止められることはわかっていますし、そのほかの資源もままにならなくなるのは当然見えてくるはずなのに進み込んで行きあの惨状です。ハルとの交渉の後すぐに日本は真珠湾に向かい、開戦の通告を三十分前まで延ばしその通告の手違いで宣戦布告なしに開戦したとなっているのですから、ハルとの決裂前から戦争を決行しようとしていたのは間違いありません。その交渉日が昭和十六年の十一月二十七日で真珠湾攻撃は十二月七日です。十日しかありません。決裂の前に戦争をやろうとしたのは明らかです。そして決行し未だに「リメンバー・パールハーバー」と言われ、内地の空襲や原爆投下の一つの言い訳に似た理由にされているのですから、軍部は日本人の一番嫌う卑怯さまでを今日まで引きづらされているということになります。ここから見えてくるのは軍人が権力を取って政治を行うということは、決してやってはいけないということです。歴史を見れば軍部は必ず軍事力を頼ります。こういうことを書けばまたお叱りを受けるかもしれませんが、軍事政権は武力に訴えがちになるのも歴史が証明しています。しかしその軍事力がなければ平和を保てないことも事実です。この兼ね合いが難しいということになります。素手でどうして平和を構築できるのかと思うわけです。反戦・非武装は誰もが願うことですが、どの国でもそうしたいという国は少ないはずです。なぜなら軍事力を背景に権力を手中にした施政者はたくさんいますし、そのことがなによりも権力になるからです。戦争をしない永世中立国のあの小さなスイスは近年六千六百億円で新しい戦闘機を購入していますし、国民みな兵士制度を執っています。銃器も一人一人が持っています。なおかつ中立国と言いながら武器輸出国です。もちろん兵役義務もあり女性兵士もいます。旧ソ連の侵攻を警戒し秘密部隊も作っています。