47 歴史は歪曲される。

f:id:satoyojiro:20210408090407j:plainたとえばロッキード事件田中角栄の問題はどうでしょう。ロッキード機は世界中に売られています。それなのになぜ日本だけあのようになったのでしょう。それは日本がアメリカを頭越しに日中交流を始めたことやロシアとパイプラインを引いて、エネルギーを確保しようとしたことなどが巷間言われていましたが、実際のところはわかりません。そのうち機密文書の解除がなされて真相がわかってくるかもしれませんが、それは両国に公にして大丈夫だと思えてからでしょうから現在は霧の中です。その底には巨大な利権が存在しています。今となっては理解できますが中国市場は莫大な利益を生みました。またロシアからエネルギーが入ればアメリカの統治も難しいものになってきます。田中角栄は虎の尻尾を踏んだということにもなります。あるいは一九七一年に毎日新聞の「西山事件」というものがありました。「外務省機密漏洩事件」「沖縄密約事件」とも呼ばれていました。沖縄返還のおりに地権者に対する土地代をアメリカが支払うとなっていたものを、実際は日本政府が肩代わりするという密約を暴いたものでした。しかしその情報は記者が相手の女性との性的関係から入手したとして、国家間の重要な問題がスキャンダラスな女性問題と替わっていった事件でした。結局は情報の大元の問題はうやむやになって行きましたが、戦後そういうことはいくらでもあります。「非核三原則」でノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作も学生たちが反対していたことが正しかったということになりました。隠蔽は愛国の元に歴史の中に消えて行きます。わたしは日本が同盟国ではなく植民地だと穿った目を持っていますし、アメリカの一挙一動に国家の命運が左右されると考えていますが、こうして八十年近く国家的な不幸にも会わず生きてこられたことにはよかったと思っています。戦争がないことが一番です。わたしが殊更に戦争のことを思案するのは曽祖父が職業軍人でロシア戦争にも行き、大叔父は軍艦の設計士をやり戦後公職追放に遭っています。自殺をしたくなるほど取り調べを受けたと直接聞きました。また老母は広島に原爆が投下される一日前まで広島にいて、夏休暇を取り帰郷し難を逃れました。母が一緒に帰ろうと誘った幼馴染みの女性は被害を受けました。彼女はプロテスタントで、どうして同じ宗教の人間がこういうことをやるのかとケロイド状態で泣いたそうです。母は彼女の先々がないことがわかり、かける言葉もなく一緒に泣いたということでした。九十八歳になった今でも思い出すし、そういうことがあったから生きているだけで幸福だと言います。