33 土地神話。

f:id:satoyojiro:20210310222230j:plain しかし天皇を担いで薩長が戦いに勝ったから「幕府直轄地」は「天領」という名前に代わりましたし、日本が戦争に負けたから「農地改革」ができ「国有地」という言葉ができたのも事実です。入植した開拓団が自分たちのことを天皇の「赤子(せきし)」と言ったのもそのためです。赤子は君主、つまり天皇に対して国民がその子どもだとたとえた言葉です。成田闘争の時に農民が裏切られたという気持ちにもなったのもそのためです。自分たちが入植し赤子として頑張ってきたのだ、ようやく開墾した土地をなぜ取り上げるのかという思いがあったのだと思います。なぜそこに飛行場を造るのかと憤ったのです。当時は農地改革で喜んだ人々はたくさんいますし、原爆や空襲を受け民間人を殺戮したアメリカに対して口には出さなくても「民主主義国」になったと快哉した人は多くいたはずです。そしてその私有地権限が緩みすぎて今日の日本の物価高騰の一因になっていることもまた間違いはありません。それは誰が悪いというわけではありませんが土地が上がれば物資を運ぶ値段や通勤費も上がります。家を建てる時も高速道路や鉄道を敷くにも土地を買収する値段が高くなります。日本のよう高速道路を走る時に料金を取る國はほとんどなく無料の国が多いのに、わたしたちはいつまで経っても高い通行量を払っています。土地が高いということは他も高騰するということです。行き過ぎれば土地を持っている人たちだけが豊かになり、格差社会が生まれてくるということにもなります。バブル経済がその典型でした。しかし反対に個人の相続税も高くなり、彼らもまた苦労するということになり不動産が動産になれば本当は誰もが苦しむということになります。物価が高いので豊かになっても、その豊かさを実感できないのもはそのためです。なにも働かなくても土地さえ持っていればそこにアパートやマンションを建てておけば、あるいは大手の企業に貸しておけば豊かな生活ができるということになります。近年、都市近郊では農家をやらずそうした仕事に乗り出しているのもそのためでしょう。もっとも彼らにも土地が上がりすぎて税金対策をしなければいけないという悩みも出てきますから大変なことです。それでも日本が戦争に負け、有史上ずっと続いた土地争いはもうなくなったと言っていいでしょう。いい土地は私有地や企業のものになりました。そして農家の人々は歴史上もっとも豊かなになっています。それは大変にいいことだでもありますが土地持ちイコール金持ちというのはながい目で見ればいいことではありません。よく酒場などで先祖伝来の土地と言う人がいますが個人が土地持ちになったのは近年のことです。そして日本人同士の戦いはこの土地争いがほとんどです。先に土地は勝った者の物と述べましたが、実際は天皇がすべての国土を持っていたかというとそうでもありません。天皇家が力を失った大元は七四三年に懇伝田永年私財法ができたことではないでしょうか。つまり荘園の始まりいうことになるのですがそのことによって貴族や寺社たちの力が強くなってきました。天皇の土地よりも彼らの土地で働いたほうが納税も少ないので実入りもよく、藤原氏を筆頭に貴族たちの土地は飛躍的に伸びていきやがては武士の台頭を許すようになっていきます。大雑把に言い方ですがその武士と天皇・貴族の争いが平安末期から戦国時代と何百年も続いていくということになってしまいました。